FIREを実現するために必要なお金?
『早期リタイヤ』と『経済的自立』を意味する、『FIRE』。FIREという言葉は、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取って、そう呼ばれています。
経済的自立を成し遂げて、できるだけ早くリタイヤし、自由な生活を送れるようにする。おそらく多くの人にとっては、夢のような話に聞こえるのかもしれません。
しかし、リタイヤの時期がいつになるのかについては何とも言えませんが、FIREは決して不可能な目標ではないのかもしれないと思っています。
FIREを実現するために必要なものといえば、「お金」です。では、実際にいくらぐらいの「お金」が必要なのでしょうか?
まず、安心してFIREするために必要なお金は、1億円が基準になるのかなと考えています。1億円をそこそこに高配当な超大手企業の株式に投資し、配当利回りを3%と仮定すると、配当だけで年収約240万円です。(税金が控除されて)
生活費として年間240万円、月にすると約20万円の収入が確保できれば、そこそこに生きていくぐらいなら何とかなる気もします。
この場合、投資元本の1億円は、常に株式として保有したままなので、元本には手を付けず、投資元本が生み出す収益だけで生活できることになります。
次に、資産を取り崩しながら生活する場合を考えてみると、その場合の投資資産額は6,000万円に下がります。
FIREでよく使われる資産取崩しの目安として、「4%ルール」というものがあります。
運用をしながら、毎年の資産の取り崩しを資産の4%未満に抑えれば、30年以上たっても資産が枯渇することはないというアメリカのトリニティ大学の研究からこの話は来ています。
そして、6,000万円の4%が、240万円ということになります。(取り崩すことで利益がいくら出るのかがわからないので、税金は考慮していません。)
ただこの話は、あまり本気では捉えない方がいいと思っています。投資というのは、価格が変動するものなので、もし大きく下落した際には、240万円も引き出せなくなる可能性もあるからです。
基本的には、取り崩すというスタイルよりも、投資元本が生み出す収益で生活費を賄うという考え方が大切だと思います。
では、今度はできるだけ安心できる(詐欺的ではない)投資商品の中で、可能な限り高配当、高分配な投資を行い、取り崩すのではなく、投資元本が生み出す収益を目的にするというケースで想定してみます。
比較的分配利回りが高い投資先の一つに『REIT』という商品があります。このREITは、間接的に不動産に投資をして、主に賃貸収入から分配金をもらう投資です。
このREITの中には、2023年10月時点で、分配利回りが5%を超えるものがちらほらあります。ということは、分配利回り5%で年間300万円(税金控除後240万円)をもらうために必要な投資資金は、6,000万円になります。
できるだけ早い早期リタイヤを目指すとしらた、おそらくこの『6,000万円』という目標が現実的なのではないでしょうか。
6,000万円をめざすライフプラン
6,000万円という目標は、果たして本当に実現できる目標なのでしょうか。
まずライフプランにおいて特別大きな支出となる『住宅』のことを考えてみます。すると、実際に6,000万ぐらいの家を買っている人もいるのではないでしょうか?ちなみにこの場合、ローン金利を含めたら、総支出額は6,000万円どころではありません。
もう少し抑えて4,000万円の住宅を買ったとしても、金利が前期固定の1.7%、25年返済で計算すると、支払総額は4,900万円を超えてきます。この場合でもやはり5,000万円ぐらいの支出にはなるようです。
つまり、住宅を買うと思えば、6,000万円という目標は意外と近いところにあることが分かります。住宅にかけるお金をFIREのためにかければ、FIREは達成できそうだということです。
ここでもう一つ、ポイントになってくるのが『住むところ』という考え方です。
住宅の購入でもそうですが、賃貸で住む場合であっても、『住むところ』しだいで、住宅にかかるコストは大きく変わってきます。都心部の住宅は高く、地方の住宅は安い。言われてみれば当たり前のことですが。
また『住むところ』の影響はそれだけではありません。年収の高い人が多い地域に住むと、普段の消費にかかる生活コストが高くなることがあります。隣の家、近所の人、ママ友などなど、私たちは身近な人の影響を受けて支出が増えたり減ったりします。
友達などいつも一緒にいるような人たちが、多く支出をしている人達だと、大概それにつられて支出が多くなります。着るもの、外食、子供の教育、いろんなところで支出が増えます。
なぜそうなってしまうのか、それは私たちの支出の多くが『見栄』にお金を使っているからです。
そのような理由からも、多少の不便を受け入れてでも、なるべく都心よりも地方、街中よりも郊外を選ぶことで、FIRE達成が近づく可能性が高くなることがあります。
FIRE達成のためには、とにかく『貯金をすることが最優先』になります。
生活にかかるコストをできるだけ切り詰めて、1円でも多く貯蓄することが、FIRE達成の近道です。
決して勘違いしてはいけないことは、投資でFIREを達成しようと考えることです。
投資で資産を増やすというのは、はっきり言って時の運です。貯金はそこそこなのに、投資だけでFIREを達成できたという人は、単に運が良かっただけだと考えましょう。私たちの人生はたった一度きりです。もし運が悪ければ、FIREとは真逆のライフプランになることだってありえます。
その点貯蓄は、FIREに向けて、確実に一歩一歩前に進むことができます。貯蓄こそがFIREにとっての一番の近道というのは、そういう事です。
貯蓄が一番であることは先の通りですが、では投資はしないで貯蓄だけでいいのかというと、それも違います。FIRE達成には、やはり投資も必要です。
ただ、資産を増やすという視点での投資は、FIREとは違うと考えています。FIREで目指すべき投資は、配当金や分配金などの収入(インカムゲイン)だと考えています。
投資では、資産を増やそうとすると、逆に資産を減らすこともある。価格の上昇で得られる利益というのは、買った時より高く売れるかどうかでしかないと思っています。
投資の格言に「含み益は幻想、含み損は現実」なんて言葉もあります。含み益で喜んでいると、足元をすくわれることもあるものです。
投資の収益を基本に生きていくFIREにとっては、幻想の利益に頼るわけにはいきません。そこで含み益よりも現実的な利益である、「インカムゲイン」を主体に投資計画を組み立てるべきだと考えるわけです。
「貯蓄をして、投資で増やす」ではなく、「貯蓄をして、投資で収入を作る」という視点で投資計画をたて、FIREに必要なインカムゲインを達成出来たら、実際にFIREを検討する。
そして、おそらくそのころの資産額が、約6,000万円になるのかなと考えています。
FIREを目指すライフプランのご相談。
FIREを達成するための、貯蓄計画。FIREを達成するための、投資計画。FIREを達成するためには、この2つの視点からマネープランを考えることが必要です。
貯蓄を効率的に進めるための知識とノウハウ。特に人生において大きな支出となりやすい、住宅の購入と生命保険加入での判断ミスは、FIREにとって致命的ともなりかねません。家計管理と貯蓄計画をしっかり立て、なおかつ実行可能なものとしなければなりません。
そして、FIREにとって必需品となるのが、投資のスキルです。
投資のノウハウや方法ではなく、”スキル”が必要だと考えるのには、投資の方法やノウハウというのは、その時代によって全く違うものが正解となることがあるためです。もっと言うのなら、投資では『同じやり方が、いつまでも通用すると考えることは、非常に危険だ』と思っているからです。
投資をしながら、その収益で生活していくには、どんな時代、そしてどんな投資環境になったとしても通用する、「投資の基本と考え方」を持って、その時代時代に合わせて変化させることができるスキルが大切です。
当社では、FIREを目指すことを、決して夢物語だとは思っていません。本気で取り組めば、かなう目標だと思っています。
ファイナンシャルプランナー、そして個人投資家としての知識と経験で、FIRE達成のお手伝いが出来ればと考えています。