FPなどのお金の専門家に相談をする価値って何?

「FPなどのファイナンシャルアドバイザーに相談することの価値ってなんだろう?」

お金についての知識が欲しいのなら、FPなどに相談しなくても、YouTubeやネット検索などで学ぶことは可能です。

税金や相続登記、不動産の取り扱い、資産管理など、もっと専門的なところの知識については、FPに相談するよりも、税理士や弁護士、司法書士、宅建士などその道のプロに相談したほうのが、より詳しいことを教えてくれます。

また、FPらしいサービスと言えばライフプラン表やキャッシュフロー表、そして提案書の作成がありますが、このマネープランやライフプランシミュレーションを作りたければ、エクセルやネット上のライフプランシミュレーションが作れるサイト、またはアプリなどを使って無料で作ることも出来てしまいます。

FPに相談したいことのほとんどは、ちょっと勉強すれば、おおよその所は案外自分でもできてしまうものです。

もしネットの情報などを駆使することで、自分でもできてしまうようであれば、「FPなどのファイナンシャルアドバイザーに相談することの意味って何なのだろう?」と思ってしまうのも当然です。

FPなどのファイナンシャルアドバイザーに「お金の知識」を求めて相談することは、今の時代では、ほどんど意味がないことになってきていると感じています。

YouTubeやネットでの情報に、一通り目を通してしまうと、「ほとんどのファイナンシャルプランナーが、ネット上の情報と似たようなことを言っているだけ」と言われても、それをはっきりと否定することはできない気がしています。

さらに、AIなどが普及することによって、より『情報』と『知識』という部分に関しては、ファイナンシャルプランナーでも、ネット等に太刀打ちできないようになってくることが予想されます。

しかし、だからといってそれだけでファイナンシャルアドバイザーが不要になるというわけでもないと思っています。

なぜなら、本当のファイナンシャルアドバイザーには、『情報』や『知識』の提供以上に、もっと大切な役割があると考えているからです。

ファイナンシャルアドバイザーの本当の価値は、コーチング?

お金のことで、もっとも大切なのは、『判断すること』です。

お金のことで、どんなに優良な知識を身につけても、実際にその知識を活かして、資産を有効活用できるという人は、おそらくかなりの少数派です。

株式投資で世界トップクラスの資産家となった投資の神様ウォーレン・バフェットが、ウォーレン・バフェットでいられるのは、だれよりも高度な知識や知能を持っていたからではありません。

ウォーレン・バフェットの運用成績は、バリュー効果など理論的な仮説で説明がつくと言っている本もありました。つまりは、理論通りに投資を実践出来れば、ウォーレン・バフェットでなくても、ウォーレン・バフェットのようになれるのかもしれないと言っているわけです。

しかし、直感的に思うことだと思いますが、「おそらくそれは無理」なのです。

私たちに彼と同じことをやれと言われても、おそらくできません。もちろんウォーレン・バフェットと同等の知識や知能を持っていたとしても、やっぱりできないと思います。

一言で言えば、ウォーレン・バフェットには、理論通りに投資を実現できる『判断力』や『忍耐力』などがあったから、ウォーレン・バフェットになれたのだと思います。

ファイナンシャルアドバイザーが必要とされることがあるのだとしたら、まさに「そこ」なのだと思います。

私たち人は、「感情」によって、さまざまな判断ミスを犯します。特にお金については、その判断ミスを犯しやすい分野の代名詞です。

「欲」や「見栄」、「恐怖」、「過信」、さまざまな感情が邪魔をし、判断ミスをさせようとします。これは行動経済学という学問で証明されている話でもあります。

かといって、感情を取り除けば、正しい判断が下せるのかというと、それも違うようです。心理学によると、人から感情を取り除くと、今度は「何も判断できなくなってしまう」という弊害がでてくるのだそうです。

感情をなくすことは無理。知識を高めたり情報をどんなに集めても、結局「感情」によって「ミス」を犯す。

私たちがお金を賢く使えるようになるためには、この「感情」を上手に扱っていくことが必要なのです。

「本当は必要ないのに、お店の雰囲気につられて、ついつい買ってしまった。」

「暴落していく株価に恐怖して、株を売ってしまった。」

「営業の人の雰囲気が良かったので、なんとなく加入した生命保険、でも後で考えると本当に必要だったのかなと思ってしまう。」

「保険を解約したほうが良いことは、頭ではわかっているのだけれど、ついつい先延ばしにしてしまう。」

このような経験、誰にでもあるのではないでしょうか。

このような判断ミスをできるだけ減らすためには、第三者からアドバイスをもらうというのが、意外と効果的なのだそうです。

アドバイスをもらうことで、自分が犯している判断ミスに気づくことが出来るほか、自分自身でも「こうしたほうが良い」と思っていることを、その道のプロや専門家から「その通りです」と背中を押してもらうことで、行動しやすくなるという効果もあります。

ファイナンシャルアドバイザーの役割とは、まさにそこにあるのではないかと考えています。

「感情」による判断ミスを減らすための『コーチング』。これこそが、ファイナンシャルアドバイザーの本当に価値になってくるのではないかと考えています。