『マネーリテラシー』と『マネーマインド』

近年、『マネーリテラシー』という言葉をよく聞くようになりました。

ところで、このマネーリテラシーという言葉ですが、どういう意味を持っているのかと言うと、「お金に関する知識や判断力」だと言われています。

そして、マネーリテラシーを身につける方法と言えば、マネーセミナーに通ったり、FPの資格の勉強をしたりといったことが挙げられます。

確かに、お金を上手に扱っていくためには、マネーリテラシーがあったほうがいいのは、間違いなさそうです。

しかし、ファイナンシャルアドバイザーとしての実務的には、マネーリテラシーよりも、マネーマインドの方が大切だと感じています。

そのマネーマインドとは、2017年の株主総会で、投資の神様と言われているウォーレン・バフェットがこの言葉を使ったことが話題になりました。

マネーマインドとはつまり、「お金に対する考え方や見方」、「お金を扱うにあたっての性格」、「お金に関する哲学」、といったものだと考えています。

知識だけでは役に立たない。

なぜマネーリテラシーよりも、マネーマインドの方が大切なのか。

それは、なんとなく感じていることだとは思いますが、ほとんどの物事が、知識だけでは何の役に立たないためです。

どんなに沢山の有益な知識を持っていたとしても、実際に私たちが物事を判断するときに使っているのは、「知識」からではなく、そのときの「感情」に左右されています。

買い物をする時やお金を使う時、仕事を選ぶとき、お金をもらう時、そして投資をする時、そのすべてに感情が絡んでいます。

しかも、資産運用で失敗する時というのは、必ずと言っていいほど感情によって判断ミスをさせられています。

もちろんどんなに豊富な知識を持っていたとしてもそれは変わりません、知識のある者もない者も、ほとんど同じような過ちを犯しています。あのウォーレン・バフェットであっても例外ではありません。

つまり、「知識があれば、判断ミスは起きない」という事は決してないのです。

だからこそ、知識よりももっと奥が深い。その人のお金の性質ともいえる「マネーマインド」が大切になってくるわけです。

深層心理に刻まれ、経験によって裏打ちされた、哲学や本質とも言える判断基準。お金を上手に扱えるようになるためには、知識を身につけるよりも、まずそれを鍛えることが、本当の意味で必要なのではないかと思うのです。

マネーマインドの鍛え方。

私たちは、子供のころから、周りの大人たちが、どうやってお金を使っているかなどを見て、自分のマネーマインドが形作られてきています。

その中でも特に、親の影響はとても大きいようです。

ほとんどの家庭で、子供のお金の扱い方を見るだけで、その子の親のお金の扱い方が想像できるものです。子供は先天的な遺伝によってマネーマインドを持つのではなく、後天的に親のお金の使い方を見ながら、自然とお金の扱い方を学んでいくと言われています。

「無駄遣いをやめなさい。」、「お金は使ってはいけない。」という言葉を信念のように聞かされて育った子は、いつの間にか、お金を使わないことが一番になり、友達と食事に出かけたり、買い物をして楽しんだりという事に、抵抗感を感じてしまったりすることもあるそうです。

何が原因で、時にはトラウマとなり、私たちのお金との付き合い方に影響をあたえているのかはわかりませんが、親の様子を見ながら、お金のことを学んでいるという事だけは間違ないないようです。そういう私個人もそれを感じることが多々あります。

結局のところ、マネーマインドを鍛えるためには、経験しかないのだと思います。

どんなに知識を身につけても、経験したことのないことは、いつまでたってもできるようにならない。

お金のことを学ぶなら、知識として学ぶのではなく、経験を積みながら学んでいくべきなのだと思っています。

もちろん、投資や資産運用でも同じことだと思っています。

投資セミナーや資産運用の専門家の話を一度聞いただけで投資や資産運用ができるようになるとは、正直思えません。

知識を学ぶと同時に経験も積みながら、少しずつ少しずつ、投資や資産運用に必要な『マネーリテラシー』以上に『マネーマインド』を身につけていくことが、本当に必要な事なのではないかと思うのです。

ファイナンシャルアドバイザーの本来の役割は、投資や資産運用の知識を与えることではなく、一緒に『マネーマインド』を育てていくことなのではないかと考えています。

ファイナンシャルアドバイザーの㈱あせっとびるだーずでは、アドバイザー自らの投資経験から学んだ、投資で資産形成するためのマネーマインドを、投資講座や定期的な勉強会と個別相談を通して一緒に共有していきたいと思っています。

資産形成を目指す人のマネーマインド作りに貢献していきたいと考えています。