資産形成への道?

資産形成というと、いきなり投資信託とか、株式投資とか、資産運用や投資をイメージする人は、結構多いようです。

しかし、資産形成を目指す上で、現実的な話として最も重要なのは、間違いなく『貯蓄』です。支出をコントロールし、収入の中でやりくりする。そしてできるだけ多くお金を貯蓄する。これができないと、資産形成は、夢で終わります。

お得な投資商品に投資をしたり、うまい節税方法を利用することで資産形成ができるなんてのは、大間違いです。

もちろん、「iDeCoやNISAを使えば、資産形成ができる」なんて話も、もしかすると勘違いしているかもしれません。

簡単に計算してみればわかることですが、資産運用や投資をしたところで、実はたいした資産形成にもなりません。

たとえば、投資や運用に使えるお金が30万円あったとします。

もし仮に、ものすごい投資の才能があって、ウォーレン・バフェットなどの世界的な著名投資家たちと同等の運用ができて年利20%ぐらいのリターンが得られたとします。(年率20%を長年続けるというのは、相当すごいことなので、多くの人は期待しないでください。)

30万円を年率20%で運用すると、1年間の投資リターンは、いくらになると思いますか?

計算すると、たったの6万円にしかなりません。月にすると5000円です。

つまり、そもそもの投資金額が少なかったら、たとえ天才レベルの投資家が投資をしたとしても、大した金額にならないということです。

天才が投資をするより、節約や支出の見直しをして月10,000円貯蓄すること方のが現実的だと思いませんか?

ただ、投資金額が増えてくると、世界は変わってきます。

貯蓄したことによって、投資額として使えるお金が2,000万円貯まって、それを平均的な資産運用レベルの年率4%で運用したとすると。

今度の運用益は、年間80万円になる計算です。月にすると、約6万6千円になります。運用益だけでも、なかなかいい貯蓄額ではないでしょうか?

そしてさらに、投資が上手くなって、年率10%を目指せるようになると、年間の運用益は200万円に跳ね上がります。

年間200万円の貯蓄ができるなんて、なかなかすごい数字です。

つまり、資産形成というのは、ある程度投資額が増えるまでは、せっせと節約して貯蓄した方のが、資産形成は早くできるということです。

そして、投資額が大きくなってきたら、節約して貯蓄に励むよりも、投資のパフォーマンスを上げた方のが、お金を貯めるのに効率的というわけです。

そのため、資産形成をしようと考えている人は、まず自分が今どのステージにいるのかを理解しなければいけません。

まだ月々の貯蓄額に集中すべき時なのか、それともすでに多額のお金を持っており、運用することで資産を増やす段階にいるのか。

自分が力をかけるべきところは、貯蓄なのか、投資なのか。

それを意識するだけでも、資産形成のスピードは違ってくると思われます。

資産形成というのは、実は、投資や運用よりも、最初は貯蓄がものを言うということです。

貯蓄、そして投資へ

「貯蓄から投資へ」とはよく言ったものです。

意味は違えど、資産形成への道は、まさに「貯蓄から投資へ」だと言えます。

資産形成を始めた、資産形成期は、せっせと貯蓄することがなによりも重要です。毎月の貯蓄額を1,000円でも多くできればできるほど、それだけ資産形成のスピードは上がります。

そしてある程度まで貯蓄額が増えると、今度は投資によって資産形成のスピードが加速していくようになります。

まさに、「複利」というものになります。

貯蓄するだけだと、資産が増えるスピードは、単利で増える感じになります。毎月10,000円づつ増えるといった感じです。

しかし、投資によって「資産額×何%」という加速がつくことで、『複利』で資産形成のスピードが上がっていきます。

資産形成は、貯蓄で蓄え、投資で増やす。貯蓄による速度の速さと、投資による加速度で、資産形成のイメージはできています。

そのため、資産形成への道というのは、まずは『家計の見直し』が重要になってきます。

毎月の貯蓄額の目標を決めたり、月々の支出を見直したり、1円でも多く貯蓄できるように、支出を見直します。

そして、その後十分に蓄えられた資産を上手に活用して、資産形成のスピードを加速させることを考えていきます。

資産運用で大切なことは、「投資」ではありません。「貯蓄から投資へ」という流れを作ることが大切なのです。

ファイナンシャルアドバイザーとしてのアドバイスでも、その流れをイメージしながら話をすることが大切だと思っています。

投資の指南役的なイメージで、どの投資信託を選んだらいいのかとか、どういった運用法が良いのか、といった話の前に、今どのステージにいるのかをイメージしてもらうことが大切だと思っています。

貯蓄に励むべきステージなのか、投資を組み入れてみるステージなのか、それとも貯蓄より投資に注力すべきステージなのか。

資産形成のアドバイスを行うのなら、それによって話す内容も大きく変わってくるべきだと思っています。