株式資産の投資信託にドルコスト平均法での積立に違和感
資産運用の基本としてよく言われているのが、投資信託への毎月積立(ドルコスト平均法)という方法です。
毎月など定期的に月10,000円とか30,000円とか、一定額づつ投資信託を買っていく。
確かに間違ってはいないと思います。しかし、それを実行する人にとっては、「それの何が良くて、また悪いことは何も無いのだろうか?」と疑問を抱きながら投資を続けている人もいるようです。
ただ、ドルコスト平均法を続ける中で、元本割れにならず、含み益があるうちは、その疑問が表面化することがなかったりします。
しかし、含み益がなくなってきたり、元本割れになったりすると、途端にそういう潜在的な疑問や不安が顕在化してくることがあります。
良い時は全く不安を感じず、悪くなった時に、急に不安感に襲われる。
人らしいと言えばそれまでですが、悪くなってからでは遅いということは忘れてはいけないことだと思います。
今回の受講者は、その今の投資のやり方に対して、はっきりとしたものではなかったけど、本当にこれでいいのだろうかという不安を持っていたようでした。
リスクや損失について知ること。
『初心者向けの資産運用講座』では、金融資産の持つリスクや、そのリスクとはどういうものなのかという事について、私の知る限りでできるだけ詳しくお話しさせていただいています。
リスクという言葉は、わかっているようで、意外とわかっていないことも多いのではないでしょうか。
自分自身、株式などに投資をしてきた経験の中で、想像以上の利益が出たことや、確実性が高いと思った投資が失敗となってしまった体験を幾度となくしてきました。
結局、ウォーレン・バフェットなどの著名投資家たちの言う通り、将来のことについては、「わからないということしか、わかっていない」という事なのだと思っています。
投資信託の購入を決める時の説明などでは、「長期間投資を続けることで、損失がでるリスクはほとんどなくなる」といった、損失やリスクを軽く扱うような説明がよくされていると感じています。
そのため、「ドルコスト平均法で20年ぐらい投資を続けていれば、損する可能性は低い」といった説明になり、リスクへの恐怖心を減らし、リスクをあまり考えないように、話を持っていこうとしているようにも感じます。
しかし、リスクをあまり考えないようにしても、株式資産などのリスクはなくなりません。
いざそのリスクに直面した時に、自分はどう感じ、どういう行動をとるのだろうか?
そのリスクを知ることは、投資を続けるうえで最も大切なことの一つだと思っています。
かつて、私自身がリスクを軽視して大きな損失を被った経験からも、金融資産などのリスクは、決して安易に考えて取り扱っていいものではないと思っています。
リスクは、値動きすることだけじゃない。
投資資産の値動きのリスクを統計的に導き出すだけなら、正規分布などで、何%という数字で説明することができることもあるのかもしれません。(個人的には、その正規分布の考え方にも疑問を持っていますが)
しかし投資のリスクには、金融資産そのものが持つ値動きのリスクといったものの他にも、経済的なリスク、地政学的なリスク、家計的なリスクなど様々なリスクがあります。
そして中でも特に大切なことが、メンタル的なリスクだと考えています。
今回の受講者のように、今のドルコスト平均法という投資の仕方にぼんやりとしたものであっても、『不安を感じている』というのであれば、その投資の仕方は、間違った方法なのだと思っています。
投資や資産運用に取り組むうえで、大切なことの一つとして考えているものに、「長期投資」という考え方があります。
ここで言う「長期投資」とは、一つの銘柄を長期間保有するという意味ではなく、長期的な視点で投資を行うという意味で使っています。
その「長期投資」を実践して、何十年という時間で投資を続けていると、いつかそのうち大きな損失に直面することになるのは間違いないと考えています。
将来のことはわからないとは言っても、そのわからない中でも、かなり確実性の高い話だと思っています。
そんな時、どうしたらいいのか。
大きな損失と出会っても平常心でいられて、これまで通り投資を続けることはできるのだろうか?
その気持ちを強いものにしていくためには、リスクを軽く見ることよりも、リスクや損失をより具体的なイメージとして描けるようにしておくことの方が大切だと思っています。
できるだけ明確なリスクのイメージを持つようにすることで、よりはっきりとした資産運用計画が立てられるのではないでしょうか?
そしてそれが、長期投資を可能にすると思っています。
リスクを知っても、投資はできる
投資をしてもできれば損なんてしたくないし、損することを考えるとやっぱり投資が怖くなったりもするものです。
だから、リスクのことなんてあまり考えない方のが、投資をしようと思ったり、やる気につながる。
確かにそれはあると思う。だから「長期投資なら大丈夫」とかいって安心感を与えたり、「インフレで資産を失う」といった投資より怖いリスクを想像させるなどして、投資へのリスクの感じ方を軽減させようとしているのだと思う。
でも、実際にはリスクへの理解が深まることで、逆にリスクを怖いものだと思わなくなることもある感じています。
人間が怖いと思うものへの共通点として、「理解できない」や「自分でコントロールが出来ないこと」というのがあると考えています。
つまり、金融資産のリスクに目をつむるのではなく、金融資産のリスクを理解し、そしてある程度コントロールできるようにすることが、本当の投資へのアプローチ法なのではないかと思うのです。
リスクを学べば、そのリスクをどう扱えばいいのか、またそれなりにコントロールできる部分があるという事を知ることが出来ます。
それを知ることで、怖いと感じていた投資を「楽しい」と思ってくれる人もいるという事を、この資産運用講座を行っている中で、肌で感じています。
投資や資産運用に取り組むにあたって、リスクから目を背けるのではなく、リスクと正面から付き合っていけるようにしたい。
それが、当社の『資産運用講座』の大切な目的の一つだと考えています。