資産配分と言えば、ポートフォリオ理論や株式と債券の配分比率を7:3にするとか、いろいろと言われてます。
リスクを減らすために、資産配分に気を配ったポートフォリオ運用を行うことが大切だということは理解できるけど、具体的にはどうやって配分比率を考えたらいいのだろうかという疑問はありませんか?
資産運用では資産配分がとても重要だという話は下の記事をご覧ください。
ポートフォリオを考えるうえで資産配分を難しく考えてしまう理由の一つとして、ポートフォリオ理論がノーベル賞を受賞した数学的な計算に基づく資産配分だというところがあるのかもしれません?
数学的に計算して、株式を何%、債券を何%、その他の資産を何%と考えなければ、ポートフォリオとして機能しないのではないかと考えてしまうのかもしれません。
それと、分散投資をするにも、選択肢が多すぎます。
株式、債券、REIT(不動産)、金、原油、先物、オプション、などなど。
さらには、株式という同じ資産であっても、先進国のみや新興国のみ、日本のみ、米国のみ。債券でも国債や社債、ハイイールド債。
株や債券といった資産の分類だけも色々あるのに、さらにその一つの資産の中でもいろんな種類に分かれています。細かく見れば、分散投資する先として、それこそ無数のようにあります。
これではどれを選んで、どのくらいの割合で何を保有したらいいのかなんてわかるわけありません。
個人的な経験としても、債券という資産グループの中でも、たとえ国債という債券を保有していたとしても、社債という債券の方が利回りが高く、また国債とは違った値動きをすると知れば、国債の他に社債という資産もポートフォリオに含めた方がいいのかななんて考えてしまいます。
株式も日本や米国だけでなく、新興国もあった方がいいよね。金も円建てだけではなく、為替ヘッジのあるドル建ての方が株式との相性が良さそうだから、そっちにも資産を分散してみようかな。
などと考え始めたらきりがありません。
いつしかポートフォリオはどんどん複雑になり、今度は管理ができなくなってしまいます。
資産配分を考えながら分散投資をするポートフォリオ運用では、ある程度運用期間が経過すると資産配分のバランスが崩れてくるので、その崩れたバランスを再調整する作業がでてきます。これをリバランスと言います。
もしリバランスをしようとしたときに、ポートフォリオが複雑になっていたりすると、どう調整すればいいものかわからなくなってきます。
といった感じでポートフォリオ運用ができませんでしたという事になるのが落ちです。
その結果、追加で手数料を負担することを承知して、すでにポートフォリオ運用が行われている投資信託を購入する、またはロボアドバイザーのようなサービスを利用するという事になるわけです。
資産配分は株式を中心に考える?
資産配分をする目的は何か?
それはリスクを軽減することです。リスクを軽減しつつ、リターンをできるだけ下げないことがポートフォリオ運用の目的です。
しかし、リターンをできるだけ下げないとは言っても、期待収益率の低い資産を組み込めば、その分期待リターンは下がることになります。
つまり、どんな素晴らしい資産配分を考えても、期待収益率の低い資産を組み込むことは、ポートフォリオ全体の期待リターンを下げることになります。
つまり、リターンをできるだけ高く保ちたいと考えるならば、期待リターンの高い資産にできるだけ多く配分することが大切になるわけです。
そこで、最も期待リターンが高いと考えられている株式資産を中心にポートフォリオを考えることおすすめしたいと考えるわけです。
株式100%が最も攻撃的なポートフォリオであり、リスク許容度に合わせて徐々に株式の配分比率を引き下げていくという考え方です。
そして他の資産配分は基本的には何でもいいという感じで考えます。株式以外に気を使うことが面倒だと感じるのであれば、世界の債券に投資するファンド1本でもいいとさえ思っています。
株式と債券価格には、逆相関(値動きが逆に動く現象、株価が上がれば債券価格が下落し、株価が下落すると債券価格が上昇するという動き)の関係性が見られるといわれています。個人的にも、実際に投資をしている中で、その関係性は事実あるように感じています。
なので、株式資産と国内外の債券資産を選択するというは理にかなっていると考えています。
ただ、ここで注意しないといけないことが為替の影響です。
「人口減少などの影響により日本経済は衰退する一方であり、円は安くなる(円安ドル高)方向に動くことになる」という意見を見かけることがありますが、株式との関係で見ると、株価が下落すると為替は円高に動く傾向が強いと感じています。
つまり、米国債など外国の債券をドルなどの外国の通貨のままで購入してしまうと、株安で外国債券価格が上昇していても、為替が円高に動く(外国為替が安くなる)ことで、外国債券の価格上昇は円高によって打ち消されてしまうようになります。
しかも、為替の値動きは債券価格の値動きよりも大きくなることが多いので、債券価格が上昇しても、円高に動く為替の値動きの方が大きく。株式の下落と同時に外債投資も下落してしまうことがほとんどです。
つまり、株式と外国債券の組み合わせでも、外国通貨のままで運用することはあまりお勧めできないというわけです。
出来れば為替ヘッジという機能のついた外国債券を利用した方がいいと考えています。
話を戻しますと、ポートフォリオ運用というと、いろんな資産を比較して、資産配分を考えなければいけないように思われますが、『株式という資産を基準として他の資産を組み合わせるように考える』という方法で資産配分を考えたほうが、シンプルにポートフォリオ運用ができるのではないかと考えているわけです。
株式の資産配分はどうする?
はっきりいってしまえば、積立投資という投資法を利用している人は、積立投資という投資戦略自体が十分なリスク分散機能を持っていると思っているので、株式100%で投資を行っても間違いのではないかと思っています。
またリスク許容度が高い人も、株式100%の運用で問題ないとも考えています。
『株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド』という本を書いたジェレミー・シーゲル教授は、本書の中で長期投資を行うと、株式100%のポートフォリオが最もリスクが少ないと説明しています。
どういうことかというと、投資してそのまま長期間保有し続ける運用を行った場合の各資産のパフォーマンスを調べると、株式投資が最もマイナスになる確率が小さかったということです。
債券投資でもマイナスにならないのではと思うかもしれませんが、物価変動考慮後では、債券投資は物価変動に負けているときがあるそうです。
つまり、この話を基に考えれば、ポートフォリオの資産配分は株式投資100%でまったく問題ないということになるわけです。
ただ、長期的な株式投資の効果はわかりましたが、短期的な値動きも考えないといけません。
それが、株式以外の資産にも分散投資をする意味と考えるわけです。
そうすると、ポートフォリオ運用が、何も複雑な数式をつかって計算しなくてもいいのではないかという事もわかってきます。
そもそも、株式市場などのマーケットは数学のみで対応できるような世界ではないと個人的には感じてます。その数学がどんなに高度なものであってもです。
実際に投資をしていると、株式などを売買するマーケットというのは常に適正な価格で動いているわけではないということを感じてきます。
マーケットには、サイクルがあり、高くなりすぎる時と安くなりすぎる時を何度も繰り返しているのではないか?というのを何となく感じてくるものです。
思うに、マーケットの根幹に位置する人(市場)の心理というものがその大きな理由となっているのではないかと考えています。
悲観的なことを無視しているかのような楽観的な時もあれば、何を聞いても悲観的にしか受け止められないときもある。
マーケットには人の心のように理屈で説明できない現象が多々起きています。そしてそのような動きがマーケットを大きく上下に揺さぶる大きな要因になっていると考えています。
マーケットには波があり、良いときがあれば、悪い時が来る。上がれば、いつか下がり、下げれば、いつか上がる。そういうサイクルが確実に起こっています。
そのサイクルを利用すること、これができればマーケットでかなり有利に戦うことができます。
株式の資産配分を気にするポイントがあるとすれば、このサイクルを意識することだと考えています。
マーケットが攻撃的な時に、それと一緒に攻撃的になるのではなく、若干引いたところからマーケットを観察して、株式の配分比率を下げる。
逆に、マーケットが総悲観の時に、あえて攻撃的に株式の配分比率を引き上げる。
このような運用ができることの方が、ただ教科書で示しているかのような一定の資産配分で運用することよりも、上手なポートフォリオ運用になるのではないかと考えています。
しかし、それが言葉で理解できるほど、簡単なものではありません。
みんながそれにチャレンジしようと考えていても、気づくと失敗を重ねているということになっています。不思議なことに思えるかもしれませんが、これが現実です。
そして結果的に、一定の資産配分のポートフォリオを作る事が一番効果的なんだなと思うようになるわけです。
資産運用を始める最初の頃は、この地点から始めることが最善と考える理由はこれになります。
お金のいろはファイナンシャル・プランニングで学ぶアセットアロケーション(資産配分)
栃木県宇都宮市のファイナンシャル・プランナー事務所であるお金のいろはファイナンシャル・プランニングでは、資産運用のポイントでもあるアセットアロケーション(資産配分)について学ぶことが出来ます。
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