『効率的市場仮説』という言葉を聞いたことはありますか?
資産運用を行っていて、この言葉を知らないのは、ものすごく損をしているのかもしれません。
効率的市場仮説とはなんのことなのか?この際におさらいしてみましょう。
効率的市場仮説ってどういうこと?
端的に言えば、「市場は効率的だよ」ってことです。
効率的ってことは、ある会社の株価が、1株1,000円となっていたら、その1,000円という価格は一般的に妥当な価格だよってことです。
よく、株価が安いとか高いとかいう話を聞くことがあるけれど、効率的市場仮説の観点から見れば、株価に安いも高いもないってことになります。
今売られている価格が、適正価格であって、安いとか高いとか言っているのは、しょせんその人の価値観の範疇でしかないということになります。
市場というのは、いろんな考え方や価値観を持った人たちが取引しているために、いろんな視点から企業の株価を分析し、その妥当性を判断しています。
つまり、一人の人間がはじき出すような次元の価格設定ではありません。
それこそ、アダムスミスが使った『神のみえざる手』という言葉のように、本当に市場には神がいると感じることさえあります。
例えば、株式市場には未来予知の力があると考えられています。
景気の動向を示す経済統計の中に先行指標と呼ばれるものがありますが、先行指標は特に景気に先駆けて動く指標の総称をいいます。つまり、将来の景気がどのようになるのかを予測する上での材料として活用されるものです。
そして日経平均株価やTOPIXなどといった株式市場のパフォーマンスを図る株価指標は、その先行指標として用いられています。
どういうことかというと、
①ここのところ明らかに景気はいいのに株式指数は下落している。
②おかしいと考えて株式を購入した。安い買い物ができたと思った。
③ところが、株式指数の下落からしばらくして、本当に景気が悪化した。
④自分では安いと思って買ったのに、結果的に高い買い物になってしまった。
このように株価の動きというのは、未来の景気を反映していると考えられているわけです。
そうなるのは、株式投資家たちは、先々を見据えて投資を行っているため、その株価の動きは先の経済を予測して動いていると考えられているためです。
投資家と呼ばれる世界中の膨大な数の頭脳が、適正な株価を考えて取引するようになると、株式市場自体が高度なスーパーコンピューターのようになって、未来さえも予知できるようになってしまうってわけですね。
株式市場というスーパーコンピューターが世界中のあらゆる情報を組み入れてはじき出した価格と、一人の人間がその人が知っている情報の範囲で考え、はじき出した価格。
どちらが正しいのでしょうね?
これが効率的市場仮説を納得させる理由となっているわけです。
効率的市場仮説はあくまでも仮説?
効率的市場仮説が正しいのかどうか?この答えは実際のところわかりません。
そう考えるとなんとなく辻褄が合うということで利用されているわけです。つまりあくまで『仮説』という事です。
実際に、この効率的市場仮説を反証する話もいろいろ出ています。
モメンタム効果やバリュー効果と呼ばれるものがその代表例です。
ただ学者たちの間では、いろいろ反論はあったとしても、株式市場などを研究するにあたって、ある程度基盤となる考え方が必要になってきます。
それが『効率的市場仮説』というわけです。
その結果、今存在する数々の金融商品には、この効率的市場仮説を前提とした考え方が使われています。
ロボアドバイザーやインデックスファンドなど、今の流行りともいえる金融商品がまさにそれです。
今投資信託などで資産運用をしている人は、本人の知らないうちに『効率的市場仮説』という考え方を利用している、かもしれないというわけですね。
じゃあ、そうなると重要なこととしては、『効率的市場仮説』はただの仮説ではなく実際につかえる考え方なのだろうかというところです。
効率的市場仮説は正解であり、絶対なのか?
「効率的市場仮説は、あくまで『仮説』。しかし、どうやらほとんどの状況においてその通りに機能している。」
という意見が多いようです。
有名な投資家たちの間でも似たような認識を持っているように感じます。
例えば、世界的にも超有名な投資家のバフェットは、ほとんどの投資家にインデックスファンドへ投資をすることをお勧めすると言っています。
他にも大物ヘッジファンド投資家、レイ・ダリオもインデックスファンドを運用先に利用しているようです。(インデックスファンドの中でも、株式市場に上場していて、株式を買うように購入することができるETF(上場投資信託)を利用しているようです。)
このようにインデックスファンドが優位であるという意見が多いことからも、市場はだいたいにして効率的であるという事を証明しているようなものです。
一番の問題は、長期間の運用になるとアクティブファンドと呼ばれる、市場平均以上の運用成績を目指そうというプロの投資家が運用する投資信託が、インデックスファンドのパフォーマンスに劣るということが明らかになって来たことです。
10年間の成績で見ると、アクティブファンドの8割がインデックスファンドに劣っているとも言われています。
プロの投資家が、良い銘柄や安くなった銘柄を見定め、悪い銘柄や高くなった銘柄を売って利益にするという事を頑張ったところで、株価の安い高いの議論は効率的市場仮説に任せて、インデックスファンドを買ってただただ保有していればいい。
これが最も投資効率を上げる方法だという事が次第にわかってきたというわけです。
どうやら『効率的市場仮説』はただの『仮説』ではない。
という事になってきたわけです。
効率的市場仮説の抜け穴?
先にも少し触れましたが、効率的市場仮説の反論として、モメンタム効果とバリュー効果というものがあります。
つまり、効率的市場仮説は、だいたいにして効果的だが、それ以上を目指すことが絶対に不可能というわけではないのかもしれないという考えがあります。
モメンタム効果とは、一つの方向に動き出した株価は、慣性の法則のように、その動き出した方法へ動きやすい傾向をいい。
バリュー効果は、割安銘柄というのは実在していて、人気がなくなったがために割安になり、再び注目を集めるようになると、そのバリューが修正されるという傾向のことです。
これらの効果が実在するというデータや論文はいろいろあるようです。
これらの話から、効率的市場仮説という枠にとらわれない、インデックスファンドを超える運用方法というのは実在するのかもしれないという期待感がでてくるわけです。
他にも、バフェットやレイ・ダリオのように市場平均のパフォーマンスを長年上回っている投資家がいるというのもまた期待感を感じさせます。
かれらは、投資をしているたくさんの人の中の奇跡の一人に過ぎないというのが、効率的市場仮説の見解のようです。
ですが、本当にそうなのだろうか?と思うところも多々感じています。
しかし、そうはいってもそんなエリート投資家たちも認めているインデックスファンドを選択することがだいたいの場合において正解だと考えています。
仮にモメンタム効果やバリュー効果が本当だとしても、その効果を信じて取引をしてインデックスファンドよりもパフォーマンスを低くしてしまう危険性のほうが高いと感じます。
人生かけて、株式投資でモメンタム効果やバリュー効果などの実験するつもりでもなければ、インデックスファンドを買って、後はできるだけ長く保有する。
というのが一番賢い選択肢だと思っています。
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